「季節を食べる」のご質問に関してのお答え
「季節を食べる」のご質問に関してのお答え
果樹生産者からみる「季節(氣節)を食べる」について
スーパーさんへ出向き、店頭にあたり前のように並んでいる氣節の果物は、工場で作られたものは無く既製品でもありません。
その殆どは、
栽培に適した空間の中へ人口的に規則性を持たせ植栽し、それを自然という大きな力を利用して栽培させていただいた物です。
生産者は栽培に必要な自然の力を利用しつつ、一方ではその年の天候に大きく左右されながら樹木の状態を診ながら最善の方法で微力ながら手を加え商品化しています。
収穫された実(生産物)を食すると、その年の天候が伺い知ることができます。
「消費者の方が、食べてみずみずしかった!美味しかった!味が薄かった濃かった!」
元々栽培地力やその果物の性質に適した氣候風土に大きく左右されますが、適地で栽培しても味が大きく変わる要因は、その年の天候が大きく関わっています。生産者は商品の均質化に努力しつつ大自然に人間が手を加えても調節が効かなかった証でもあります。
花が咲く時期に雨が多いと受粉ができず、実は付きません。
受粉できても、実の肥大期に雨が多いとその年の実は大きくなりやすく味は薄くなってしまい、雨が少ないと実は小さく土中の養分を吸収することができず味も薄くなってしまいます。
実の形成期に雨量が多くなると水分を吸収し過ぎて実が落下し腐れが発生しやすく、干ばつでは逆に養分が行き渡らなく実が小さくなり枯れて落下したりします。
自然災害の影響でお隣の木が倒木しただけで受粉樹の影響により翌年の実生りや味に大きく変化が生じます。
生産者は、花が咲く時期に蜜蜂が受粉しやすい様、花芽の選別(花摘)作業で調節を行い、さらに実が付いた時点で選別(摘果)作業で実に養分が行き渡るよう手を加えます。
雨が多い天候下では病気が発生しやすいことから、投薬回数を増やし、雨が少ないときは害虫が発生し投薬回数が増え、かつ人口的に根元へ潅水作業を行います。しかし、樹木に養分が吸われ実まで養分が行き渡らない分、葉へ人口的に養分を投与する回数が増えます。
収穫期に自然災害で実が落下したり、樹に残った実に傷が付いたりしますが、落下した実の養分が残った実に集中して美味しい果実が形成されます。
果樹にとって適当に太陽光が差し、適当に雨が降ってという年は無く、生産者が均質化を目指す商品(生産物)は、大自然に対する手解きに限りがあります。その氣節が生産物の味を大きく左右することに繋がります。